この記事では、NVIDIA Broadcast を用いたノイズキャンセリング設定手順と、 OBSへの導入方法を画像付きで詳しく解説します。
はじめに
OBSの配信設定を再構成する機会があり、マイク周辺のノイズ処理を見直していたところ、「そういえばNVIDIA提供のノイズキャンセルアプリがあったな」と思い出しました
NVIDIA提供のノイズキャンセルアプリについて調べたことをまとめました
- NVIDIA提供のノイズキャンセルアプリとは何か(概要と特徴)
- OBSやDiscordなどの他サービスと比較してどう違うのか(機能・負荷)
- 実際の導入方法(画像付き)と設定手順
- おすすめ機能構成と注意点
NVIDIA提供のノイズキャンセルアプリとは
NVIDIA提供のノイズキャンセルアプリは、NVIDIA Broadcastというものになります。NVIDIA Broadcastは、同社のGeForce RTX GPUを活用してAIベースのリアルタイム音声処理を実現するソフトウェアです。特に注目すべきなのは、以下のような高度なノイズキャンセリング機能です
- マイク音声のノイズ除去:タイピング音、扇風機、室内の雑音などをリアルタイムで除去
- スピーカー出力側のノイズ除去:通話相手の雑音も除去
- スタジオ音声:話者の声にフォーカスするベータ機能(従来の音声フォーカス機能に相当)
これらの処理はすべてGPU上で動作し、CPU負荷を最小限に抑えつつ、自然で高品質な音声体験を提供してくれます
生活音が強い環境(エアコンや扇風機の音が強いなど)、またわんちゃんやねこちゃんの鳴き声も消してくれるとのこと
NVIDIA Broadcastの対応環境
以下の条件を満たす環境で使用可能です
- GPU:GeForce RTX 20シリーズ以降(RTX 3060, 4060, 4070 など)
- OS:Windows 10 / 11
- RAM:8GB以上推奨
- ソフトウェア:NVIDIA Broadcast(公式配布)
OBS・Discordとの比較(機能・負荷)
NVIDIA Broadcastは、OBSやDiscordに内蔵されているノイズキャンセリング機能とは処理方式・対応内容・リソース消費の面で明確な違いがあります。以下にアプリごとの違いを比較してみました。
項目 | NVIDIA Broadcast | OBS(RNNoise) | Discord(Krisp) |
---|---|---|---|
ノイズ除去(マイク) | ◎ 高精度(AI) | ○ 中程度 | ○ 中程度 |
ノイズ除去(スピーカー) | ◎ | × | △ |
スタジオ音声(話者強調) | ○(ベータ) | × | × |
残響除去(エコー) | ○ | × | × |
音質の自然さ | ◎ | △(こもる) | ○ |
GPU負荷(3060) | 約10~15% | 0%(CPU負荷) | 0%(クラウド処理) |
CPU負荷(i5 10世代) | 2~5% | 3~6% | 微小 |
機能別GPU負荷一覧
以下は、NVIDIA Broadcastを使用した際のGPU使用率の理論値です。
想定環境は以下の通りです:
- CPU:第12世代i5
- GPU:RTX 3060
- 常駐実行アプリ:OBS配信(1080p 60fps)、FF14
※GPUは普及世代として3060としました。Twitch配信が1080p 60fpsまでなので、OBS配信のレートを1080p 60fpsとしました。そこそこの負荷率でかつユーザー数の多いゲームとしてFF14としました。
機能構成 | GPU使用率(3060) |
---|---|
ノイズ除去(マイクのみ) | 5~8% |
ノイズ除去+スピーカー | 8~12% |
+スタジオ音声(話者強調) | 12~18% |
※ CPUへの影響は限定的(2~5%程度)
※スタジオ音声はノイズ除去(マイク)と排他設定です。(ノイズ除去が含まれていると思います)ノイズ除去がOFFになりますが問題ありません
※スピーカー側のノイズ除去は通話相手がうるさい場合に限定して使用推奨
最低限おすすめの機能構成
機能 | 理由 |
---|---|
ノイズ除去(マイク) | タイピング音やファンの音が明確に除去されるため、通話・配信に必須 |
インストール手順
公式サイトよりダウンロード:


- ダウンロードした .exe ファイルを実行
- システムチェックが入る → 続行をクリック
- 使用許諾誓約書:同意して実行する をクリック
- インストールオプション:高速のまま、次へをクリック
- インストールが進行中です
- インストール完了画面
NVIDIA Broadcast設定
- 使用中のマイクデバイスを選択(例:Line(UR24C))
- ノイズ除去をON
- 左メニュー →「設定」→「スタートアップで起動する」にチェック
OBSへの設定方法
- OBSを起動 → 設定 → 音声 → 「NVIDIA Broadcast」を選択
- 必要に応じてゲイン調整やフィルタ設定
- すでにOBSのノイズキャンセリングフィルタが設定されている場合は、設定をはずす
比較動画
以下が参考動画です。かなり極端な環境を作ってテストをしています。距離1mの場所に置いたサーキュレーターを全開でまわして、距離30cm程度の位置のキーボードをカチカチ叩いています。
ノイズキャンセリングなし
OBSのノイズキャンセリング
NVIDIA Broadcastのノイズキャンセリング
OBSのノイズキャンセリングは、風の音もキーボードの音も消してくれていますね。
しかし無音の時は風の音を消してくれていますが、しゃべった瞬間に風の音を拾っています。
NVIDIA Broadcastは、無音の時はもちろんのこと、しゃべっているときでも風の音もキーボードの音も消してくれていますね。(音声をいじっている成果、若干プチっと切れたりしていますね。極端な環境でのテストのためご容赦ください
注意:NVIDIA BroadCastを入力デバイスとした際、私の環境では音量が極端に変わりました。約30dbぐらい下げないとゲージが降り切れていました。設定した際はこの辺りを調整したうえでご使用ください
まとめ
NVIDIA Broadcastは、一般的なソフトウェアベースのノイズキャンセリングに比べ、自然な音声・強力なノイズ除去・低CPU負荷という3点で優れています
RTX 3060以上を使用している方で、配信や通話における音質向上を求める方にとって、非常に有用なツールではないでしょうか
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